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No.13 イスラム聖戦思想の背後にあるもの

平成11年2月2日
佐田靖治


古代神話で等しく語られているのは、父神と母神のイサカイである。父神の絶対支配に対して母神がそれに対抗する形で語られていることが多い。その場合、母神は単独で戦わずに子神と組んで対決するドラマがギリシャ神話でも語られているが、ここに宇宙世界の形が現わされている。一神教はこうした宇宙の神々の世界を隠す働きをしてしまったのだが、創造主という一神を説いて神々を消し去っても、その背後に宇宙世界の形は見えてくる。

イスラエル神選民族の消えた十支族が、子神系の中心であるダビデを守りぬこうとしたのに対して、ユダヤ族は母神筋で支配権を確立しようとした。一神教を説いたモーゼスが母神の使徒であったことは、神界レベルから確認すれば明らかである。それに対して、イエス・キリストは父神の顕れであって、ここにユダヤ一神教とキリスト教のイサカイの原因があったのである。エフライムなき後のユダヤ二支族(母神ガイアとユダつまりクロノスとの連合)の中から、これを支配するために父神イエスが現れた。ユダヤはこれを嫌ってイエスを追い出した。

それが世界支配宗教としてのキリスト教になっていくのだが、それに対してイスラム教は同じ流れをくむ一神教ではあっても、その背景にかなりの違いがある。イスラム教は、ユダヤ教の母系でもキリスト教の父系でもない子系の一神教であると言える。子系とは言っても、エフライムが立てようとしていたダビデとも、ユダとも違う、別系のクロノスとでも言えるような子系の一神教である。子系のマホメットが打ち立てたイスラム教は、砂漠で成立した略奪宗教であるが、彼らが振りかざした剣は今の聖戦思想につながっている。この聖戦を志向する動きは、直接的にはユダヤに敵対しているもののように見える。しかし、その背後にはイスラエル神選民族が目指した神の仕組みをつぶそうとする意味が隠れている。

その聖戦を志向する組織の一部には、原始キリスト教につながっているものがある。ここにイスラムの一神教だけでは理解しきれない宇宙の仕組みがあって興味深い。


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