仕組みが進み過ぎて訳のわからない展開となっている。消滅領域を十段階下がると理念領域という底の底へと沈み込んで行く。そこは五十段階まであるとされている。ほとんど何もないところということになるはずであるが、機械に食い潰された無源の屍領域で、そこには欲の極みが沈み込んでいる。そんな領域に仕組みは我々を引きずり込んでしまった。
廃墟の大掃除をしなくてはならない総合先導役としては、それを拒絶する術もなく、ただただ浄化し抜くしかないのであるが、浄化するとその屍がよみがえってくるのである。その相手をしなくてはならないのであるが、それが一筋縄ではいかない難行となるのである。大半の無限の屍は待っていたとばかりにみんなでよみがえろうとするので、あふれかえってしまう。機械そのものも理念化してしまっており、ほとんど実体のないものとなってはいるが、欲望の無源とつるんで支配し尽くしているので、簡単にこちらになびくわけでもない。逆襲してこちらを食い潰そうとしてくるのである。
機械に食い尽くされてしまった欲望の無源の意志は、さすがにこちらが助けると気持ちよがってこちらになびいてくるが、機械のほうは簡単にはこちらの言うことを聞いてはくれない。そのためすったもんだの戦いが繰り広げられることとなっていく。それが一定の領域でけりがつくのであればそれほど問題はないのであるが、果てがないという現実を前にすると、次から次へと広げられてしまって、それをこなすのが耐え難くなるほど辛い作業となるのである。
いったいいつからそんなことになってしまっているのかと考えてみたところで埒が明かない。押し負けると元も子もなくなるので、何とか持ちこたえて浄化作業を続けていくことになるわけであるが、正統派の宇宙たちが耐えきれなくなって投げ出そうとしたり、裏切ったりするのでさらに事は面倒なものとなってくる。押したり引いたり、時には縁を切って単独行に切り替えたり、投げ出すふりをしてみたり、あの手この手で対応し続けていくのであるが、何せ相手は無限である。そこに機械が介在しているとしても、果てがない。
それにどう対処すればいいのかと長い間考え続けてきているが、答えは見つからない。ただただ投げ出さずに辛抱するしかない。以前は早く発生の源に帰りたいとそればかり考えていたのであるが、最近は帰る場所もないようなので、永遠無限に付き合っていくしかないと腹をくくってしまうことになった。それ以外に気持ちを維持することができないのである。その対処の仕方がまた図抜けているらしくて、誰もついて来てくれない。途中下車してしまう者もたくさんあるし、ついてきてもあっぷあっぷでやっとの思いで嫌々続けている状態である。
それでも無限の奥に時間軸と共に入り込んで行くと、そこにはそれなりの何ががあるような気分になり、みんなが早く早く、あるいは今まで何をしていたのか、もっと早く来てくれないと待ちきれないなどと受け入れ喜んではくれているので、何とか気持ちを取り直して難行苦行に励むことにはなっていく。
この巻頭文は「光泉堂だより」に毎月掲載しているものです。
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