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No.11 仏教は母神の宗教である

平成10年11月17日
佐田靖治


仏教の開祖である釈迦が母神の魂の持主であると言うと、誰でも奇異の感を抱くかもしれない。モーゼスや老子や孔子までもがそうだったと思われるが、後者のことはさておいて、仏教では女は悟りを開くことができず、女は男に生まれ変わらなければ仏にはなれないとされているのも、そこらあたりにも原因があるのかもしれない。ここには母神の秘めた願いがうかがわれる。つまり、男に変化してでも宇宙を支配したいという野望とでも言える思いである。

仏教とは仏界という異次元の一分野を目指す宗教で、霊界というレベルで成り立っている一神教とはその立場が違っている。一神教が異教とか邪教と言って毛嫌いするのは、所属する異次元の違いもあるのだが、その他にも父系と母系の立場の違いといった感覚があるのかもしれない。一神教では大地母神ガイアの系統である母神を大淫婦、大地のケガレとしてさげすみ嫌っているからである。

ここからもうかがわれるように、大宇宙では父系と母系の間に深いミゾがあって、その両者が激しくいがみ合っている現実がある。そのことは、ギリシャ・ローマ神話を代表とする世界神話に類型的なものとして語られている。もちろん日本神話にも父神と母神のいがみ合いは現れている。これは一神教のみではなく、神々の間でも、仏教の間でも同様に見られる形である。このことは宇宙の古い歴史を調べないとその原因はわからないが、全宇宙規模では、父神が宇宙の絶対支配体制を築いているところにその淵源があるように思われる。

父神と並び立つ形で配置されている母神には父神ほどの権限がなく、同等の立場である妻神を夫筋の父神が徹底的に押さえ込んで、絶対権利を確保してしまったいきさつがあるらしい。ここに母系が父系を克服して立とうとする欲望が生まれ、そこから男に変化してまでも道を説こうとする仏教のような宗教が現れてもくるのだろう。

父神と母神の対立抗争の問題は、千年期に中東で演じられるはずだったハルマゲドンがらみの神の仕組み、それをつぶす働きとなって現れている。そして、それが極東の日本に移されて取り組まれたときも、仕組みつぶしの激しい働きをしたのであった。


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