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No.42 賢者のなれのはては黴菌(ばいきん)

平成14年6月28日
佐田靖治


地球の科学者はやっとコンピューター科学を獲得し、宇宙空間に進出したばかりだが、宇宙はとっくの昔に人間科学者によってコンピューター化され、管理システム化されていた。このことは異次元領域を突っ込めば突っ込むほど明らかになってくる現実である。

地球の科学者は現段階では物質三次元領域から宇宙の実態に迫ろうとしているが、やがて三次元物質世界から異次元世界、多重宇宙へと参入していくことになるだろう。現代科学は今急ピッチでそちらの方向へ進化しはじめているからである。一般人類はこのことに不安と期待を感じながら、とどめようもなく押し流されていくのみである。

そうしたコンピューター科学の揺籃期に漂っている今の我々は、まだ幸せなのかもしれない。なぜなら宇宙で達成されてしまったコンピューター管理システム宇宙は、あまりいいものではないからである。この宇宙システムから考えると、表現世界が文明化し、コンピューター化していくのは必然的な流れであって、これを押しとどめることはできないし、止めても意味のないことだろう。

それはそれでいいとして、問題は、そうしてコンピューター化した世界を解消できずにもがいている宇宙がある、ということである。コンピューターを作り出した宇宙初期の科学者は、宇宙を機械化することには成功したが、それを解消して本来の自然の宇宙に戻すことができないまま、ゴミ化して残り続けてしまうというおぞましい結果を出してしまった。

彼らは自らを高度なサイボーグ体として自分本来の身体を放棄してしまった。そして時には取り替えた身体から出て意識だけで活動するような生き方もする。それはいかにも自由で超能力的で特権を享受しているかのように思えるのだが、よく観察してみると、彼らは逆に悲劇的な落とし穴に深々と落ち込んでいることがわかってくる。

この宇宙では生命進化の法則というものがあって、その法則を無視すると、逆に生命退化してしまうのである。ロボット人間は生き終えると機械妖怪化するし、体を捨てて意識だけで生きようとする科学者は、悪性ウィルスとかさまざまな黴菌となってしまうのである。


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